【書評】 1922年測量の地図と92年の衛星写真の情報で択捉へ 「地図マニア 空想の旅」今尾恵介著

【書評】1922年測量の地図と92年の衛星写真の情報で択捉へ
NEWSポストセブン2016.12.09 07:00

http://www.news-postseven.com/archives/20161209_472273.html

【書評】 『地図マニア 空想の旅』/今尾恵介・著/集英社インターナショナル/1300円+税

「地図マニア 空想の旅」(知のトレッキング叢書) 今尾恵介著(集英社 1,404円税込)


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「地図」と「想像力」だけで綴る紀行文!

金銭的、物理的、時間的、様々な理由で人は旅に出られない。
だがワンコインで買える地図と想像力があれば、あり得ないほどの低予算でヨーロッパやカナダ、オセアニアなどの遠く離れた外国の地に降りたつことができるし、明治・大正・昭和時代の日本各地など、通常では行くことのできない場所にも行ける。
空想紀行には人を縛るものなどないのである。

長年に渡り地形図を眺め、その時代、その土地についての研究を重ねてきた著者の、地図研究家としての情熱、その技法が一冊の本に!

【空想旅行先】

国内編
昭和10年の中央本線
大正時代測量の現役地形図でゆく 2038年の択捉島紀行
昭和32年の京葉
昭和10年の西国街道
大正時代の軽便鉄道。芥川龍之介『トロッコ』の舞台
昭和14年の草津軽井沢電気鉄道
明治時代の赤坂
昭和10年の京浜工業地帯

海外編
フランスのラングドック
イギリスのローマ古道
ニュージーランドのコハンガピリピリ湖
オランダの三国山
バングラデシュのチッタゴン
ノルウェーのフィヨルド地帯
カナダのナイアガラ
スイスのチューリヒ
イタリアの東リヴィエラ
オーストリアの山岳列車
ドイツのモーゼル川

【内容情報】(出版社より)
一枚の地図と想像力があれば、遠い外国の地や、過去の日本へ行ける。長年地図から土地の風景を読みとり続けてきた地図研究家が辿り着いた「空想の旅」は、今まで不可能だった旅を現実のものにした!


地図マニア 空想の旅 (知のトレッキング叢書)
集英社インターナショナル
今尾 恵介

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商品基本情報
発売日: 2016年06月24日頃
著者/編集: 今尾恵介
発行元: 集英社インターナショナル
発売元: 集英社
サイズ: 単行本
ページ数: 252p
ISBNコード: 9784797673180

【内容情報】(「BOOK」データベースより)
机の上の地図の情報から、過去や未来の日本さらには海の向こうの異国の風景を思い起こし、想像だけで旅をする。明治の赤坂、芥川『トロッコ』の舞台となった大正の熱海、昭和の船橋、フランス、ドイツ、ノルウェー。これまで行くことのできなかった場所への旅。地図研究家・今尾恵介の集大成がここにある。

【目次】(「BOOK」データベースより)
国内編
中央本線425列車の旅
大正時代測量の現役地形図でゆく二〇三八年択捉島紀行
昭和三二年高度経済成長前夜の京葉を行く
西南西へ進路をとれ西国街道に見た阪急の戦略・行基の足跡
大正時代の軽便鉄道で旅する芥川龍之介『トロッコ』の舞台
アブト式鉄道と草軽電車を乗り継いで北軽へ
明治の赤坂 ひと目でわかる旧道
つるりん電車体験記 草創期の京浜工業地帯
海外編
フランスラングドックの潟めぐり
イギリスのローマ古道をまっすぐ歩く
ニュージーランドコハンガピリピリ湖畔までピリピリ歩く
オランダの「最高峰」を目指して
バングラデシュの古き港町を訪ねて
ノルウェー 北欧フィヨルド紀行
カナダ 滝へ行かないナイアガラ紀行
スイス チューリヒのレントゲン通りは廃線跡だった
イタリア 東リヴィエラは天まで続く葡萄畑だった
オーストリア 狭軌鉄道巡礼の旅
ドイツモーゼル川 鉄道とバスでワインの産地へ

【著者情報】(「BOOK」データベースより)
今尾恵介(イマオケイスケ)
1959年、神奈川県生まれ。地図研究家。日本地図センター客員研究員、地図情報センター評議員、日本地図学会「地図と地名」専門部会主査。地図、地名、鉄道に関する著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

【書評】関川夏央(作家)

 択捉島は全長二百キロ、神奈川県の三割増しという日本最大の離島である。その中部太平洋岸の天寧プレヴェストニク空港へ、著者は新千歳空港から小型機で飛んだ。択捉は人口過疎、天寧集落もロシア人世帯七軒、日本人世帯二軒があるばかりだ。集落が面した単冠湾は、一九四一年晩秋、ハワイ真珠湾奇襲をもくろむ連合艦隊がひそかに集結した場所だ。

 著者は飛行機の到着に合わせて走る一日二便のバスで、日ロ両国人のまばらな乗客とともに約一時間南下、入里節からは二十分ほどで島を横断してオホーツク海側の内保に達した。

 ここで下車、一軒だけ蕎麦屋があったので昼食に択捉名物ピロシキ蕎麦を食べた。そのあと、山自体が半島をなす美しい山容の阿登佐岳(一二〇五メートル)ふもとの神居古丹集落までレンタサイクルを走らせた──

 実はこれは現実の旅ではない。二〇三五年、ロシア住民付きで返還されたとする北方領土、その三年後の夏の「空想の旅」なのだ。一九二二年測量、五万分の一択捉島地図に、九二年、衛星写真で得た情報を別色で加刷して発行した地図を旅した。

 そのほか、昭和三十二年の京葉地区、大正時代の小田原―熱海軽便鉄道、昭和十年の鶴見臨港鉄道などを当時の地図で旅した。また外国の精密な地図で、著者が行ったことのない外国の街を歩いて旅行記を書いた。

 今尾恵介はベストセラー『日本鉄道旅行地図帳』『日本鉄道旅行歴史地図帳』(新潮社)の監修者、地図の専門家として名高い。その鉄道地図に今尾恵介は、線路の急勾配25パーミル(1000メートル走って25メートル登る)以上の区間をあえて赤く着色した。

 地図を「読む」のが好きな人は、鉄道の勾配が好きだ。坂道も等高線も好きで、扇状地も河岸段丘も好きだ。さらに会戦における両軍配置図も好きで、そのような「地図の文学化」の最高の成果は司馬遼太郎『坂の上の雲』であろう。

※週刊ポスト2016年12月16日号