【群馬】 移住・定住促すPR動画が人気 人口減少に悩む下仁田町 東京新聞2016年6月10日
【群馬】
移住・定住促すPR動画が人気 人口減少に悩む下仁田町
東京新聞2016年6月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201606/CK2016061002000189.html
PRムービー「人と町の風景」の1シーン(下仁田町提供)
人口減少対策で移住・定住を増やそうと、下仁田町がPR用に作った動画が人気だ。「ネギやこんにゃくは有名だけど、何もない町…」。そんな歌が流れる動画が「自虐的」と話題になり、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」の再生回数は七万八千回に達した。予想以上の反響に、町関係者は「移住先に選んでもらえるきっかけになれば」と期待を寄せる。 (大沢令)
「歩いても人もまばらで、駅前でさえそんな状況で…ネギとかこんにゃくばっかり有名で」
町の移住定住PRムービー「人と町の風景」はこんな歌とともに始まる。四分間の映像に街並みや、町民が楽しそうに踊る様子がほのぼのとした雰囲気で映し出される。昨年十二月に動画を公開。自治体が発信する「自虐的なPR」として話題となるなど、わずか半年で再生回数は飛躍的に伸びた。
町の人口は約八千人。昨年の出生者数は約二十人で、国立社会保障・人口問題研究所の試算では二〇四〇年に約三千八百五十人に減ると見込まれている。
移住定住策は、こうした人口減少に立ち向かう町の総合戦略の柱の一つだ。吉弘拓生副町長(34)が「下仁田のことをもっと知ってもらおう」と昨年五月ごろから若手職員と相談し、動画でPRする作戦が始まった。
制作費は九十万円。タレントではなく、町民の起用にこだわり、総勢百人以上が参加した。頼まれて二つ返事で引き受けたというパートの吉岡恵子さん(60)は「自然が豊かで、暮らしやすい。町のそんないいところが映っていて楽しかった」と動画の感想を話す。
動画が話題になると、担当課に移住への問い合わせが増えた。二〇一五年度のふるさと納税も返礼品メニューを増やした効果があって約七千七百万円と前年度の約七倍に達し、「動画を見ました」とのコメントも多く寄せられたという。
地元で映像を制作している「MEMORYCOLOR」代表で同町出身の中島元気さん(33)が撮影などを担当した。熊本地震でも被災者を励ます動画としてあらためて注目された九州新幹線の全線開通CMをヒントにしたという。動画で流れるオリジナル曲「オー・下仁田」は「町の外から見た客観的なイメージを歌にして」と安中市に住む音楽関係の友人に依頼した。
中島さんは「町の日常をありのまま、シンプルに伝えたかった。自虐的という反応は意外だったが、町を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
動画は町のホームページで公開されている。
下仁田町HP
http://www.town.shimonita.lg.jp/
◆受け入れ態勢急ぎたい 吉弘副町長に聞く
移住定住を動画でPRする作戦を仕掛けたのは、昨年四月に福岡県うきは市の職員から下仁田町の副町長に抜てきされた吉弘さん。総務省地域力創造アドバイザーとして二年前、講演のため町を訪れたことも縁になった。「外部の人材登用で人口減少対策に新たな視点を」。そんな期待を託された副町長に話を聞いた。
-動画を作った理由は。
移住や定住のきっかけになればと思った。ネギやこんにゃくは有名だけど、それだけではない町の日常や風景を伝えたかった。町のいいところを再発見してもらうため、町民の方も巻き込んで動画を作った。
-自虐的と評判に。
そんなつもりはなかったが、結果的に町が注目されたことはありがたい。動画を見て「こんなに子どもがいるとは思わなかった」という反応もあった。
-移住は進むか。
簡単なことではない。受け入れ態勢を急がなければならない。約五百棟の空き家を調査して、マッチングを進めて活用していく。
-人口減少をとどめる方策は。
出産や子育てをしやすい環境を整えないと、若い世代は増えない。移住の希望が増えても、町の若い世代が転出しては何にもならない。町に誇りを持てる教育環境を整えていきたい。
移住・定住促すPR動画が人気 人口減少に悩む下仁田町
東京新聞2016年6月10日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/list/201606/CK2016061002000189.html
PRムービー「人と町の風景」の1シーン(下仁田町提供)
人口減少対策で移住・定住を増やそうと、下仁田町がPR用に作った動画が人気だ。「ネギやこんにゃくは有名だけど、何もない町…」。そんな歌が流れる動画が「自虐的」と話題になり、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」の再生回数は七万八千回に達した。予想以上の反響に、町関係者は「移住先に選んでもらえるきっかけになれば」と期待を寄せる。 (大沢令)
「歩いても人もまばらで、駅前でさえそんな状況で…ネギとかこんにゃくばっかり有名で」
町の移住定住PRムービー「人と町の風景」はこんな歌とともに始まる。四分間の映像に街並みや、町民が楽しそうに踊る様子がほのぼのとした雰囲気で映し出される。昨年十二月に動画を公開。自治体が発信する「自虐的なPR」として話題となるなど、わずか半年で再生回数は飛躍的に伸びた。
町の人口は約八千人。昨年の出生者数は約二十人で、国立社会保障・人口問題研究所の試算では二〇四〇年に約三千八百五十人に減ると見込まれている。
移住定住策は、こうした人口減少に立ち向かう町の総合戦略の柱の一つだ。吉弘拓生副町長(34)が「下仁田のことをもっと知ってもらおう」と昨年五月ごろから若手職員と相談し、動画でPRする作戦が始まった。
制作費は九十万円。タレントではなく、町民の起用にこだわり、総勢百人以上が参加した。頼まれて二つ返事で引き受けたというパートの吉岡恵子さん(60)は「自然が豊かで、暮らしやすい。町のそんないいところが映っていて楽しかった」と動画の感想を話す。
動画が話題になると、担当課に移住への問い合わせが増えた。二〇一五年度のふるさと納税も返礼品メニューを増やした効果があって約七千七百万円と前年度の約七倍に達し、「動画を見ました」とのコメントも多く寄せられたという。
地元で映像を制作している「MEMORYCOLOR」代表で同町出身の中島元気さん(33)が撮影などを担当した。熊本地震でも被災者を励ます動画としてあらためて注目された九州新幹線の全線開通CMをヒントにしたという。動画で流れるオリジナル曲「オー・下仁田」は「町の外から見た客観的なイメージを歌にして」と安中市に住む音楽関係の友人に依頼した。
中島さんは「町の日常をありのまま、シンプルに伝えたかった。自虐的という反応は意外だったが、町を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
動画は町のホームページで公開されている。
下仁田町HP
http://www.town.shimonita.lg.jp/
◆受け入れ態勢急ぎたい 吉弘副町長に聞く
移住定住を動画でPRする作戦を仕掛けたのは、昨年四月に福岡県うきは市の職員から下仁田町の副町長に抜てきされた吉弘さん。総務省地域力創造アドバイザーとして二年前、講演のため町を訪れたことも縁になった。「外部の人材登用で人口減少対策に新たな視点を」。そんな期待を託された副町長に話を聞いた。
-動画を作った理由は。
移住や定住のきっかけになればと思った。ネギやこんにゃくは有名だけど、それだけではない町の日常や風景を伝えたかった。町のいいところを再発見してもらうため、町民の方も巻き込んで動画を作った。
-自虐的と評判に。
そんなつもりはなかったが、結果的に町が注目されたことはありがたい。動画を見て「こんなに子どもがいるとは思わなかった」という反応もあった。
-移住は進むか。
簡単なことではない。受け入れ態勢を急がなければならない。約五百棟の空き家を調査して、マッチングを進めて活用していく。
-人口減少をとどめる方策は。
出産や子育てをしやすい環境を整えないと、若い世代は増えない。移住の希望が増えても、町の若い世代が転出しては何にもならない。町に誇りを持てる教育環境を整えていきたい。