【京都の素顔がわかる本特集】 「京都ぎらい」井上章一著(朝日新書 760円)

ザッツエンターテインメント
京都の素顔がわかる本特集
日刊ゲンダイ2016年4月3日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/178663

「京都ぎらい」井上章一著(朝日新書 760円)


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京都ぎらい (朝日新書)
朝日新聞出版
2015-09-11
井上章一

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朝日新書 井上章一 朝日新聞出版発行年月:2015年09月 予約締切日:2015年09月09日 ペー


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 旅行シーズン到来。今年も「京都」は人気の観光地にランキングされている。その一般的なイメージは古都、寺社、みやびな宮廷文化だろうか。京都を論じた本はたくさんあるが、近頃、負の側面と見られがちな角度から京都を紹介する本の出版が相次いでいる。「いやらしさ」「魔界」「値段」などに言及する異色の京都本を紹介する。

 今話題のベストセラー「京都ぎらい」(朝日新書 760円)の著者・井上章一氏は、風俗史・建築史研究家で、国際日本文化研究センター(京都市)教授。京都市右京区の妙心寺近くで生まれ、嵯峨・清涼寺釈迦堂の近くで育ったという、京都以外の人から見ると、まちがいなく生粋の京都人だ。

 ところが京都の中心地・洛中(中京区、下京区、上京区あたり)の人から「あなたは京都の人やない」とばかりに、いやらしい言葉を投げられたのがきっかけでこの本を書いたという。

 そのときの様子はこう。著者は京都大学建築学科時代、調査に行った下京区の古い町屋の当主から「君、どこの子や?」と尋ねられ、「嵯峨から来ました」と答えた。すると、その当主は「昔、あのあたりにいるお百姓さんが、うちへよう肥やしをくみに来てくれたんや」と言った。

 下水道も水洗便所もなかった時代に、嵯峨辺りの農家は市街地の家のふん尿を、肥料にするためにくみとりに来ていたという意味だ。著者は、自分に不手際があったのかと悩んだが、当主が感謝の気持ちを込めたかのように見せて、嵯峨を「田舎」だと見下し、いやらしい言い方をしたのだと徐々に知る。

 町なかの人の「中心意識」は他地方でもあるだろうが、京都のそれが複雑なのは、やんわりした物言いに、自分たちの優越感と共に他者への強い差別意識をにじませること。そのへんがとても「いやらしい」のだ。

 そのいやらしさのもとは、底意地が悪いからなのか、屈折したプライドを持つからなのか。

「東京の皇居はただの行在所。つまり宿泊所で、天皇家はほんの百数十年間、東京に立ち寄っているだけ。本拠は今日なお京都御所にある」と言いつのり、東京を見下す人も少なくないというから、相当だ。

 一方で、おかしな「京都の常識」もつづられる。京都の僧侶は、祇園や先斗町のお茶屋をはじめ夜の町へ、僧服のまま堂々と遊びにいく。著者は、衆人環視の料理屋で、袈裟姿の僧侶と芸妓(芸者)がカウンター席に交互に座り、誰はばかることなく戯れ合っている光景に出くわした。クラブでは「肩や腕もあらわなドレスのお姐さんに、袈裟姿のままじゃれつく」僧侶も、自然に受け入れられているというのだ。

 そんな裏事情を明かした著者は、京都が「きらい」なのか、面白いと思っているのか。おそらく後者なのに、裏腹なタイトルがついている。

 さすが京都の人の本だ。



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