【神奈川】  命のリレー アユ産卵 多摩川 (東京新聞2014年11月23日)

【神奈川】
命のリレー アユ産卵 多摩川
東京新聞2014年11月23日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/20141123/CK2014112302000122.html


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目が見えるようになったアユの卵

 桜の咲くころ東京湾から多摩川を遡上(そじょう)してきたアユたちは、十一月も半ばになると産卵のピークを迎えます。悲しいことに、産卵という命のリレーの大役を果たしたアユはメスもオスも生涯を終えます。メダカでさえ二年くらい生きます。はかなく短い命ですが、メダカは二年で三~四センチにしか育ちません。アユは一年で二五~三〇センチに育つのですから、成長がとても速いことが分かります。

 アユの産卵は、天敵の鳥などに襲われにくくなるから夜がピークです。産卵場に集まったオスは体が真っ黒になり、筋肉質の細い体つきになります。メスは体がふっくらとした優しそうな柔らかい体つきです。オスが待ち構えるところへメスが入っていくと、何匹ものオスが取り囲み産卵を誘います。メスが産卵を始めるとオスは一斉に放精し、産卵は終わります。サケと違いメスの奪い合いはなく、一度に大勢で受精させるのが特徴です。

 多摩川のアユの産卵は特徴があります。都市河川の多摩川は下水処理水の混入が多いため水温が高く、産卵時期は他の川に比べて一カ月近く遅いことが特徴です。十月も過ぎ季節はすっかり秋になっても、水温が高いので川の中に秋の訪れがなかなか伝わりません。多摩川の水中の秋は初冬に訪れます。水温が高いと産卵しても卵が死んでしまう確率が高いため、水温が下がる十一月になってから産卵するためです。

 アユの産卵場は多摩川で数カ所確認されていて、高津区の二子新地駅と東京都世田谷区の二子玉川駅にはさまれた場所が最大です。流れが速い浅い瀬で、小豆からクリくらいの石で埋め尽くされた場所に産み付けます。大きなメスは三万個以上の卵を産みます。アユの卵は〇・六ミリくらいで石にくっついています。

 卵を顕微鏡で観察すると、卵から腕が伸びて石にしがみついているように見えます。一週間もすると卵の中に目が、十日もすると小さな心臓が動くのが見えます。卵は約二週間ほどでふ化します。ふ化したばかりのアユはほとんど泳ぐことができず、東京湾まで三~四日をかけて流れに乗って川を下ります。

 アユの赤ちゃんたちは寒さを避けるため、東京湾で来年の春まで過ごします。春、桜の咲くころにたくさんのアユたちが多摩川に戻ってくることを考えると、今からワクワクした気持ちになります。

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