【書評】  白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 根深 誠 著 (七つ森書館・3024円)

【書評】
白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯 根深 誠 著 (七つ森書館・3024円)
東京新聞2014年10月26日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014102602000174.html


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◆森との関わり生き生きと

「白神山地マタギ伝 鈴木忠勝の生涯」根深誠著(七つ森書館 3,024円税込)


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忠勝の死(1990年)に関して、「これで目屋のマダギも終わったナ」という何人かの村人たちの噂を私は耳にしている。たしかに鈴木忠勝(明治40年=1907年生)は名実ともに、村の誰もが認める最後の伝承マタギだった。忠勝はマタギ集団のリーダー、すなわち「シカリ」として知れ渡っていた。忠勝がマタギであることを否定する村人は一人もいない。

(はじめに)
──永年にわたる付き合いのあった著者が、残されたたくさんの写真と録音から、白神山地の最後の伝承マタギの生涯を綴ります。著者の白神山地シリーズの最終作といえる大作です。

はじめに
第1章 水没集落
第2章 白神山地とマタギ
第3章 クマ狩り
第4章 山々に残る伝承
第5章 山の暮らし
第6章 白神山地をめぐる歴史
終 章 ひとつの山村の消滅と将来について
おわりに


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鈴木忠勝の生涯 根深誠 七つ森書館発行年月:2014年08月27日 ページ数:274p サイズ:単行


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・発売日:2014年08月27日頃
・著者/編集:根深誠
・出版社:七つ森書館
・サイズ:単行本
・ページ数:274p
・ISBNコード:9784822814106

【目次】
第1章 水没集落
第2章 白神山地とマタギ
第3章 クマ狩り
第4章 山々に残る伝承
第5章 山の暮らし
第6章 白神山地をめぐる歴史
終章 ひとつの山村の消滅と将来について

【著者情報】
根深誠(ネブカマコト)
1947年、青森県弘前市に生まれる。明治大学山岳部OB。日本山岳会会員。1973年以来、ヒマラヤに通い続ける。84年、アラスカ・マッキンリーで行方不明になった先輩仲間の植村直己の捜索に参加。これまでにヒマラヤの未踏峰6座に初登頂。故郷津軽の自然を愛し、白神山地を歩き尽くす。ブナ原生林を東西に分断する青秋林道の建設計画が持ち上がった際には、反対運動を立ち上げる。

[評者]宇江敏勝=作家・林業家


 私は昭和三十年代の青年の頃、古い村田銃をもって狩猟をしていた。山仕事のかたわら自分たちの食糧にする猪(いのしし)や鹿を撃ったのだが、紀州和歌山県ではマタギとは呼ばれない。マタギというのは、白神山地で独特な伝承とともに熊狩りなどをする人々のことである。青森県西目屋(にしめや)村の鈴木忠勝(明治四十年生まれ)は、津軽地方における最後のマタギであった。

 ブナをはじめ落葉広葉樹の繁茂する深くて険しい山々が連なる白神山地は、自然の宝庫である。太古の時代から人々はけものを獲(と)り、魚を釣り、山菜や木の実を採取し、炭を焼き、木材の伐(き)り出しなどの生業を営んできた。

 著者の根深誠は現在の白神山地を知りつくした人物である。鈴木忠勝とは晩年十数年間のつき合いで、本書はその体験談をもとに、森と濃密にかかわる姿を生きいきと描いて興味がつきない。春の雪の中で熊を撃つ、危険で緊張感あふれる場面がある。獲物を解体するときの「祝いジシ」の儀式や、呪文が紹介される。四頭連れの熊を全部殺してしまうと祟(たた)りがあるともいう。山詞(やまことば)や女人禁制のきびしい戒律があり、門外不出の巻物をもつのも、マタギと称されるゆえんだ。

 鈴木忠勝が元込め単発の村田銃で猟をはじめた昭和のはじめ頃、ヤリで熊を追う年寄りがまだいたというのも驚きである。鉄砲をもつことによって、伝統的なマタギは決定的に凋落(ちょうらく)し、姿を消したのではないか、と私は思う。現在はライフル銃である。

 ところで、白神山地はユネスコの世界自然遺産への登録によって、行政側が管理をつよめ、規制がきびしくなっているという。入山を制限し、狩猟や採取のための山小屋をとり壊し、焚火(たきび)や釣りもできなくされている。長い歳月にわたる自然と人間の交わりが変質し、根絶されかねない、と著者は憂慮する。鈴木忠勝は自然遺産登録前の平成二年に亡くなり、マタギの生涯を全うしたのだった。

 ねぶか・まこと 1947年生まれ。ルポライター・登山家。著書『シェルパ』など。

◆もう1冊 
 田中康弘著『マタギ-矛盾なき労働と食文化』(エイ出版社)。山とともに生きるマタギの姿をとらえたフォトエッセー集の第一弾。


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