【社会】 武相学のススメ 自然、歴史遺産に共通点 (東京新聞2014年8月24日 朝刊)

【社会】
武相学のススメ 自然、歴史遺産に共通点
東京新聞2014年8月24日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014082402000112.html


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 東京都の多摩地域南部と神奈川県の相模原市。都県境で分かれた地域をひとくくりにして特徴や魅力を再発見しようという研究が始まった。都心や横浜から離れた郊外だが、戦国城址(じょうし)や「絹の道」など歴史を物語る足跡が多く、自然も豊かだ。このエリアを「エコミュージアム(地域まるごと博物館)」として情報発信する。武蔵国、相模国という両地域の旧国名から「武相(ぶそう)学」と名付けた。近く協議会を発足する。 (栗原淳)

 「豊かな森林に恵まれて鎌倉、江戸に近く、甲州街道や鎌倉街道沿いで栄えた地域。歴史的、文化的共通点は多い」

 法政大現代福祉学部の馬場憲一教授(66)はこう話す。東京都八王子、町田、多摩、日野、稲城の旧南多摩郡五市と相模原市の計六市を対象とした「武相学」を提唱し、五~七月には同大多摩キャンパス(町田市)で「地域まるごとミュージアム構想研究会」を三回開催した。学生や住民、市職員ら幅広い受講者が、地域の魅力に関するアイデアを持ち寄った。

 戦国時代、小田原を拠点に関東を支配した北条(ほうじょう)氏康など後(ご)北条氏は各地に支城を配置した。中でも八王子城(八王子市)と津久井城(相模原市緑区)は、武田信玄の甲斐をにらむ重要な拠点だった

 江戸時代末期の開国後には、八王子が輸出用生糸の集積地として栄え、現在の町田市を経て横浜港まで続く「絹の道」で生糸を運んだ。道の一部は今も残り、八王子市には「絹の道資料館」がある。

 明治維新後に一帯で盛んになった自由民権運動の資料を集めた「町田市立自由民権資料館」も見学できる。議会政治の確立に尽力した「憲政の神様」尾崎行雄の生誕地である相模原市緑区には、「尾崎咢堂(がくどう)記念館」もある。馬場教授は、数百年前から現代に至るこうした歴史遺産に加え、自然も豊富な武相地域を「武相学」のエコミュージアムと位置付ける考えだ。キャンパスを拠点に、研究者や市民が文化遺産や施設の収蔵品を比較研究したり来訪客に紹介したりする。緑地の調査、保全も視野に入れる。

 国際的に人気が高い高尾山(八王子市)を代表的スポットとして紹介したり一帯のマップをつくったりする構想も温める。馬場教授は「歴史だけでなく、街づくりや環境問題など現在の課題も対象に含め、総合的な地域学に発展させたい」と話す。

 <エコミュージアム> 

生態学(エコロジー)と博物館(ミュージアム)の造語。一定の地域の遺産を現地で保存、展示する研究手法で「地域まるごと博物館」とも呼ばれる。中核施設を拠点に、地域内の自然・歴史遺産や展示施設などを見学ルートで結ぶ。1960年代にフランスで始まり、日本には80年代に紹介された。日本エコミュージアム研究会によると、神奈川県平塚市や三重県など約20カ所で展開されている。

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