アポなしで人が来る」昭和の香りの「里山長屋」とは (AERA 2014年8月11日号)

「アポなしで人が来る」昭和の香りの「里山長屋」とは
(更新 dot.asahi.com2014/8/ 8 11:30)

http://dot.asahi.com/aera/2014080600081.html


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木と土壁といった伝統的な素材と工法で造られた藤野の「里山長屋」。冬は太陽の熱を取り込み、逆に夏は熱を遮って風を通す(撮影/村上宗一郎)


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夏の午後、コモンハウスに集まる住民たち。高さ2メートルの本棚にはシェアしたい本を置く。地域活動のチラシも置かれ、掲示板としても機能している(撮影/村上宗一郎)


 緑に囲まれた環境で、人とのつながりを感じながら暮らす――そんな生活ができる場所が、都心からそう遠くないところにある。

【里山長屋の暮らしを写真で】

 東京・新宿から中央線で1時間と少し。都心への通勤圏内にある神奈川県の藤野駅を降りると、大きな相模湖、そして緑の山々が広がっていた。ここに、「里山長屋」と呼ばれる美しい木造の建物がある。

 遠くから眺めると数軒の棟は、まるで手をつないでいるように見えた。ずらりと南側に並ぶ縁側の前には、野菜やハーブが植えられた菜園がある。一歩中に入ると、木の良い香り、家の中を巡る光と風が全身を包む。無垢(むく)材の板の間に立てば、足の裏から土を感じる。そんな家だ。

 ここに住む4世帯は、それぞれ他の場所に一戸建てやマンションを所有していたにもかかわらず、この集合住宅に惹かれて集まってきた。親子3人で今年ここに越してきたという女性(42)はこう話す。

「単に自然が豊かな場所ならば、他にいくらでもある。でも、ここは足元の豊かさを大切にしながら、コミュニティーが楽しくつながっている。それが大きな魅力です」

「里山長屋」は、プランニングの段階から居住希望者がワークショップを丁寧に重ねて、コンセプトを作り上げた。「里山」という言葉で、人の生活や多様な生き物、自然や畑が共存する循環型の暮らし方を表現している。助け合いながら楽しい暮らしをしたいという想いで、長屋スタイルを選んだ。

 4世帯は家族構成もライフスタイルも見事にバラバラ。それがいかにも里山的だ。前出の親子3人のほかに、最初に土地を購入し、長屋が生まれるきっかけを作った一人である池竹則夫さん(50)は単身、長屋の設計者でもある山田貴宏さん(47)は夫婦2人。40歳の女性は小学生の娘と暮らす。

 周囲に友人が多く住むこともあり、

「ここに越してきて以来、人がアポなしでどんどん訪ねてくる。どこにでも子どもたちが出没するし、昭和の時代に逆戻りしたみたい」(池竹さん)

 そう話している間も、子どもたちは自由に菜園や縁側をかけまわる。それを見て2人の母親がしみじみとつぶやいた。

「もしこの家じゃなかったら、子どもの小学校入学と新生活で、もっとヨロヨロだったと思う。でも、お隣からお弁当を作っている気配を感じたりすると、よし、私も頑張ろうって思う。気心知れた人の『気配』を感じること。それが心強い」

※AERA 2014年8月11日号より抜粋

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