拠点は大田原 中国政府お抱え“料理の鉄人”王志堅さんは今

拠点は大田原 中国政府お抱え“料理の鉄人”王志堅さんは今
日刊ゲンダイ2014年7月19日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/151971


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驚くほど安い/(C)日刊ゲンダイ


 90年代半ばの超人気番組だったフジテレビの「料理の鉄人」。本日登場の王志堅さんは中国政府“お抱え”料理人であり、メディアに凄腕料理人と紹介された。同番組では95年3月、道場六三郎と卵対決。惜しくも敗れ、その後は名前を聞かない。今どうしているのか。

 栃木県大田原市。東北道・西那須野塩原ICからクルマで約15分。野崎街道沿いに王さんの中華料理店「酔賓園」がある。

「ようこそいらっしゃいました。妻と2人、二人三脚で店を切り盛りしてます。開店は平成9年9月9日。ゾロ目だから、忘れることはありません」

 2階建ての店舗1階は約50席。2階は宴会用で30人までオーケーだ。店前に17台分の駐車スペースも。

「料理は北京、広東、上海、四川となんでもお任せください。でなければ、中国政府主催の宴会責任者は務まりませんからね。妻も北京料理コンテストの前菜部門で優秀賞を受賞した料理人で、北京ダックは得意中の得意です」

 値段は驚くほど安い。ご飯、スープ食べ放題の日替わりランチが580円からあり、ランチバイキングは880円。宴会コースは料理9品2500円からだ。夫人が手がける北京ダックは1羽6800円。

「厨房もホールもワタシと妻でこなしてる。それがお安くできる秘訣です」

 王さんは中国では中華料理人の最高位「国家高級技師」であり、趙紫陽、胡耀邦、楊尚昆、鄧小平などの中国要人が主催する宴会やパーティーで調理責任者を務めてきた。

「鄧小平さんにはよく指名されました。好き嫌いがなく、お出しした料理は何でもペロリと召し上がって下さいましたよ。そうそう、今の習近平主席の実父、習仲勲さんのご自宅で料理したこともあります。肉体的に一番大変だったのが全人代、全国人民代表大会でしたね。関係者を含め、毎日2万食を作らなければならなかった。夕食用に麻婆豆腐1品作るのにも、朝9時から始め、午後5時半までかかりました」

■東京五輪の中華料理責任者が目標

 不思議なのが、それほどの料理人がなぜ栃木県にいるのか、だ。

「ここからクルマで40分ほどのホテルサンバレー那須の中華料理部門の責任者として招かれたんです。当時はまだ30歳。日本で腕を振るってみたいという気持ちも強かったですし」

 それが93年12月。ホテル内の高級中華レストラン「オリエンタル・ガーデン」のオープニング料理長に就いた。「料理の鉄人」に出演したのも料理長時代だ。

「サンバレーのお客さまにフジテレビの関係者がいらっしゃって、番組プロデューサーに推薦してくれたそうです。演出上、メーンの食材は番組の最初に発表されますが、実は2週間前にはわかっていて、ワタシのときは“卵”でした」

 もちろん、王さんは研究に研究を重ねて斬新なメニューを編み出した。

「ところが、スタジオ入りした瞬間、頭の中は真っ白です。すべての記憶が吹っ飛び、中国政府とサンバレーの看板を背負ってるんだから、失敗はできないって気持ちだけで卵に向かいました」

 それでは道場六三郎に敗れたのも仕方ないか。

 最後に、王さんには大きな目標がある。2020年に予定されている東京五輪・選手村食堂の中華料理部門の責任者になることだ。

「本場の中華料理を世界中からやって来るアスリートに味わってもらいたいんです。何万食でも仕切ってみせますよ」

 店近くの自宅に夫人の母親と3人暮らし。1人娘は慶応大学を卒業し、トヨタに勤めている。