市川の赤レンガも継承を 市民ら要望 富岡と同じ「フランス積み」工法 (東京新聞2014年6月24日)

【社会】
市川の赤レンガも継承を 市民ら要望 富岡と同じ「フランス積み」工法
東京新聞2014年6月24日 夕刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014062402000252.html


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今月7日に行われた見学会で、旧陸軍武器庫の赤レンガ建造物を訪れた人たち=千葉県市川市国府台で(村上一樹撮影)

 世界文化遺産に登録された富岡製糸場(群馬県富岡市)と同じく、赤レンガの「フランス積み」工法で造られた歴史的な建築物が千葉県市川市にある。全国でも数少ないフランス積みの建築物は各地で手厚く保護されているが、市川市の建物は文化財にも指定されず放置されたまま。市民は「富岡製糸場と同時代に生まれた歴史的文化遺産。ぜひ保存と有効活用を」と求めている。 (村上一樹)

 フランス積みは、レンガの長い面と短い面を交互に並べる工法で美しいデザインが特徴。積むのに手間がかかるため、明治中期以降はほとんど使われなくなった。

 市川市の赤レンガ建築物の保存・再生と活用を考える市民グループ「赤レンガをいかす会」によると、国内に現存する約三百棟のレンガ建築物のうち、フランス積みは十六棟しかない。ほとんどが国や自治体により文化財指定されているが、同市の「旧陸軍武器庫」は指定されていない。

 江戸川河岸に面した緑濃い台地の奥にひっそりと立つ建築物は二階建てで、幅約二十メートル、奥行き約八メートル。明治前期~中期に建造されたと推定される。旧陸軍の武器庫として利用され、戦後はワクチンの開発や製造をした県血清研究所の薬品倉庫として使われた。

 研究所は二〇〇二年に廃止。敷地は閉鎖され、近くで見学することもできないため、地元でも存在を知る人は少ない。県は今も土地と建物を所有しているが「今後の利用計画は白紙」(県健康福祉政策課)という。

 一一年三月の東日本大震災では、倒壊こそ免れたものの、一部の屋根瓦が崩れた。建物にはツタが覆い始め、雨漏りも激しく内部はカビも生えだしている。

 「いかす会」の吉原広代表(65)は「応急処置でもいいから即刻手を打たないといけない状況」と危機感を募らせる。会のメンバーで建築家の高木彬夫さん(76)も「明治から平成まで生き続けた日本近代化の歴史の証人。私たちの代で失うわけにはいかない」と、保存を強く訴えている。

 和洋女子大の中島明子教授(居住政策)は「戦争遺跡としても残す意味は大きい。公共の財産としてどう活用するか考える必要がある」と話している。