「くよくよせず」歩んだ88年 向島百花園の茶亭女将・佐原さん一代記  (東京新聞 6月17日)

【東京】
「くよくよせず」歩んだ88年 向島百花園の茶亭女将・佐原さん一代記
東京新聞2014年6月17日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/20140617/CK2014061702000106.html


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「茶亭さはら」で店番に立つ佐原洋子さん=墨田区東向島で

 下町の名勝、都立向島百花園(むこうじまひゃっかえん)(墨田区東向島)にある「茶亭さはら」女将(おかみ)の佐原洋子(さはらようこ)さんは、八月八日で八十八歳となる。百花園が焼失した東京大空襲を経験、戦後は園の復興に携わりながら女手一つで二人の息子を育てた。その半生を振り返る本が先月出版された。「戦争は嫌。命を大事にしたい」と話す。 (奥野斐)

 洋子さんは、江戸後期の一八〇四年に百花園を開いた園主の佐原鞠塢(きくう)から数えて五代目を母方の祖父に持つ。父は園からすぐ近くの白鬚(しらひげ)神社の宮司。小さいころから祖父が管理する百花園を庭のように、四季の花々を眺めて育った。

 一九四五年三月十日未明、下町を襲った東京大空襲の夜、十八歳の洋子さんは実家の神社にいた。「あっという間に火の手が神社の裏手まで来て。両親と井戸にポンプをつないで、必死に社殿に水をかけ続けました」。二時間ほど迫る火と格闘した。風向きが変わり神社は焼け残った。

 家族は無事だったが、百花園は焼失した。祖父は空襲の一週間後に持病やショックで亡くなり、跡を継ぐはずだった叔父も沖縄で戦死した。

 「戦争では大抵、何の罪もない兵隊さんや街の人が命を落とす。今の平和を大事にしなくてはいけません」。昨今のきな臭さが気掛かりという。

 戦後、園は都によって整備され、四九年に再開した。洋子さんは二十三歳で結婚し二人の子を授かったが、四年後に離婚して実家に戻った。園内で母親がやっていた茶店を引き継ぎ、調理師免許を取った。園内の集会施設「御成(おなり)座敷」が復活すると、賄いを請け負った。「ちゃきちゃき動いて、忙しくしてたよね」と長男滋元(しげもと)さん(64)が懐かしむ。

 約三千坪の園には五百種ほどの植物が植えられている。二年前に開業した東京スカイツリーも見える。洋子さんは「毎日来ても飽きない」とほほえみ、若い世代にはこう語りかけた。「人生、くよくよしないこと。そして、仕事も子育てもしっかりおやんなさい」

 出版された本は「向島百花園のスーパーレディ一代記 花も盛りの88歳!」(KADOKAWAメディアファクトリー刊)。百九十二ページ、千二百九十六円。問い合わせは、出版元=電0570(002)001=へ。

「花も盛りの88歳! 向島百花園のスーパーレディ一代記」佐原洋子著(KADOKAWA 1,296円税込)


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山あり谷あり花もある、向島百花園で生きる昭和女の一代記
昭和元年生まれ。東京下町の粋な風情を残す向島百花園で、山あり谷あり花もあるドラマティックな88年。くよくよしなけりゃ人生うまくいく。いやなことは忘れていつもしゃっきり。きれいに生きる!お手本。


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向島百花園のスーパーレディ一代記 佐原洋子 KADOKAWA発行年月:2014年05月13日 ページ


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・発売日:2014年05月13日
・著者/編集:佐原洋子
・出版社:KADOKAWA
・サイズ:単行本
・ページ数:191p
・ISBNコード:9784040667409

【内容情報】
江戸の粋な風情を残す名勝、向島百花園で戦争、高度経済成長、平成と激動の時代を生きてきた。花と人情に包まれ育った生粋の下町娘がいま辿り着いた素敵な生き方に感動!粋な女の一代記。

【目次】
第1章 江戸から昭和へ、百花がつなぐ縁ー向島百花園の誕生と、祖父が残してくれたこと
向島百花園を開いた初代佐原鞠塢
文化・文政時代。町人の粋な文化が結実した庭に ほか
第2章 徒然なるままに花園で四季を過ごすー向島百花園で暮らす日々と、寄せる思い
「小町娘」の庭。向島百花園の魅力
植物が元気を与えてくれます ほか
第3章 私の人生、財産は家族ーありがたくも米寿を迎えて人生の覚え書き
弓道で心身を鍛えた、下町生まれの少女時代
白鬚神社は心のふるさと ほか
第4章 生きてりゃいろんな発見があるー私を元気にしてくれる大切な宝物
お茶との出会いと、江戸千家のこと
和気藹藹と、お茶会へのご招待 ほか

【著者情報】
佐原洋子(サハラヨウコ)
1926年、東京都墨田区生まれ。1955年ごろから、向島百花園内に茶亭「さはら」を営む一方、御成座敷で行われる句会などの「賄い」を担当する。母は、向島百花園を開いた初代佐原鞠塢から数えて、5代目鞠塢の長女。父は白鬚神社(東京都墨田区)宮司。長年続けている「江戸千家」茶道の先生でもある。向島百花園とともに人生を重ねてきた。