【吉田類 大衆酒場100選】  飲んべえの神様も笑う路地裏の繁盛店 <斎藤酒場 十条>

【吉田類 大衆酒場100選】
飲んべえの神様も笑う路地裏の繁盛店

日刊ゲンダイ2014年3月13日 掲載

http://gendai.net/articles/view/syoku/148659


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(C)日刊ゲンダイ

<斎藤酒場 十条>

 飲んべえが酒場に求めるものは酒だけじゃない。安くてうまい酒肴、肩肘張らずに楽しめる気安さ、女将が優しいといった居心地である。十条は駅前のロータリー脇の路地を入ってすぐの「斎藤酒場」には、それら全てが揃っている。

 夕暮れの5時過ぎ、暖簾をくぐるとテーブル席はほぼ満席、L字形のカウンターの中にまで客が入って縁日のような賑わいだ。女将の案内でテーブル席へ。ここでは相席が当たり前、顔見知りでも知人でもないのに、旧知の間柄のようになれてしまうのは、飲んべえの神様のなせる業か。ビール(大瓶)490円をグビッとやり、名物のポテトサラダ220円をつまんでいると、店内の賑わいは聞き心地の良いBGMへと変わっていく。と、隣の2人組と目が合った。何となく笑顔で会釈し、乾杯。30歳前後とおぼしき男は美容師だそうで、一見らしく目をパチクリ。

「東十条で焼きとんを食らって景気付けしてたんですけど、勢いがついて、はしご酒になったんスよ」

 と笑う。串かつ220円(2本)を頬張っては「うまいッスね」とうなり、「安いっスね」と感心している。ジョッキをあおって、頬を赤らめながら「土間が渋いッス」「温かいッスね」などと続ける姿が何ともほほ笑ましく、「その通り。最高ッスね」と合いの手を入れてしまった。

 常連も一見も関係なく、誰もが心地よく酔っぱらっている。そんな空間が、昭和3年の創業から大切に守られてきた。仕込みを怠らず、手間暇かけて手作りする料理はほとんどが200~300円台で、酒は170円とべらぼうに安い。つい歯止めがきかなくなりそうだが、客もまた自分の酒量を守り、変な表現だが、きちんと酔う。誰も口には出さないものの、そんな暗黙のルールが息づいているのである。

 店にはこんなエピソードがある。ある日、ご主人と女将が営業前の仕込みをしていると、客席から妙な音が響いてきた。ガガガッ。イスが土間を引きずっているのか。顔を上げても、誰もいない。おかしいなと首をかしげていると、コン。グラスがテーブルを叩く音のようだ。やはり、店内には誰もいない。

「亡くなった常連さんが飲みに来たのかしら」
 女将はご主人に言い、グラスにビールを注いで、テーブルに置いてあげたという。すると不思議なことに、音はしなくなったそうだ。

 菜の花のおひたし230円を追加し、酒を日本酒に差し替える。おちょこは2つもらった。天国からの常連客を思って、「まま、おひとつ」と徳利を傾けた。
(取材・カメラ 吉田慎治)

■戦後大衆酒場のシンボル

▽吉田類…「土間に一枚板のケヤキのテーブルが並ぶ店内は、戦後の大衆酒場の典型ともいっていい造りなんですね。酒場の聖地などと呼ばれたりしていますが、価格も雰囲気も庶民的で、どれだけ有名になろうとメディアの取材の際は、営業中の撮影はNG。大切なお客さんを守ろうというのです。素晴らしいじゃありませんか」

▼よしだ・るい 高知県出身。画家、イラストレーターの傍ら、酒場詩人として全国の酒場をめぐる。著書に「酒場歳時記」など。BS―TBS「吉田類の酒場放浪記」出演中。






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