【吉田類 大衆酒場100選】 こだわりの酒場空間で絶品もつにかぶりつく

【吉田類 大衆酒場100選】
こだわりの酒場空間で絶品もつにかぶりつく

日刊ゲンダイ2014年1月16日 掲載

http://gendai.net/articles/view/syoku/147261


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(C)日刊ゲンダイ

■炭火焼 いっぱいやっぺ(国分寺)


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 国分寺は駅北口の商店街をズンズン進む。地名の由来にもなった武蔵国分寺跡のある、落ち着いた景観を楽しみにして来たが、大きな更地ができていて驚く。地上32階と31階建ての高層ツインタワーが建設されるらしい。

 時の流れを感じつつ、たどり着いたのが、「いっぱいやっぺ」。地元に愛され、宵の口から常連客でにぎわう焼きとんの名店である。黒い暖簾をくぐり、引き戸をガラガラ開けると、L字カウンターにテーブルひとつ。店主の浅見次男さんが「昔ながらの屋台風酒場を大切に」と守り続ける、こだわりの空間である。生ビール500円の注文がてら、話を伺う。

「こだわりってほどじゃないけど、夏に冷房がガンガンきいた場所でビール飲んだって、おいしくないでしょ?冬も石油ストーブ1台くらいの方が酒はうまいんだから」

 ほほぉ~。この時代にあって電話はおろか、エアコンも設置していないとは珍しい。生ビールにもこだわりがあるのだろう、グビリとやれば、キレが際立ち、喉が鳴る。やわらかい泡を拭えば、浅見店主が大きくうなずいた。ひと息つくのを見計らって、「何を焼きましょう?」と浅見店主は言った。壁のメニューには、各130円のもつ焼きが並ぶ。トマト150円、シイタケ130円、ぬか漬け300円などもあるが、まずは「おすすめをお願いします」だ。

 先陣を切って差し出されたのは、シロ。こんがり色のタレをまとい、アツアツを口に運べば、プルプルの脂がはじけ、舌の上で溶けていく。そしてシコシコとした食感。クセなどは全く感じられない。これはイケる。さて次は何にしよう。

 お隣のサラリーマン兄にアドバイスを求めると、「漬けは試す価値ありだよ」とのこと。漬けとはニンニク、唐辛子を加えた醤油に数分漬け込んでから焼くこと。カシラを注文したところ、これが実にさっぱりとした味わいで、くせになりそうだ。

 生ビールを差し替え、レバー、テッポウ、ナンコツともつ焼きの宴を楽しんだ。周りには、見るからに常連の中高年のご同輩が勢揃いして、ワイワイ、ガヤガヤ。ホッピー400円を手にした常連さんが言う。

「マスターはね、10代でもつ焼き屋を志して、店を開いたのがハタチ。修業で体得した技術をしっかりと継承して曲げない。なかなかできるもんじゃないよ」

店主の渋い風貌から類推するに、もつ焼き一筋30年以上ってことか。どれだけ街が変わろうと、ここだけは変わらないでくださいと願った。
(取材・カメラ 吉田慎治)

■もつ焼き一筋の哲学

吉田類…「まさに、もつ焼き一筋のマスターなんです。10代の頃は店の2軒隣にある親戚の精肉店で肉のイロハをみっちり学び、修業先は国立の有名もつ焼き店。そんな達人が朝びきのもつを使って焼くんですから、うまくないはずがない。酒場空間に対する哲学も実にカッコイイですよ」

▼よしだ・るい 高知県出身。画家、イラストレーターの傍ら、酒場詩人として全国の酒場をめぐる。著書に「酒場歳時記」など。BS―TBS「吉田類の酒場放浪記」出演中。





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