「ろくでなしのロシア」中村逸郎著(講談社 1995円)…ロシア正教の総主教の地位を超えたいプーチン

「ろくでなしのロシア」中村逸郎著(講談社 1995円)
【書籍・書評】
日刊ゲンダイ2013年8月5日 掲載

http://gendai.net/articles/view/book/143839

<ロシア正教の総主教の地位を超えたいプーチン>

「ろくでなしのロシア プーチンとロシア正教」中村逸郎著(講談社 1,995円)


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「宗教は、なやめるもののため息であり、心なき世界の心情であるとともに精神なき状態の精神である。それは民衆のアヘンである」と若きマルクスが『ヘーゲル法哲学批判序説』で記したように、70年間の共産主義を捨て貧富の差が激化するロシアにおいて宗教の復興ぶりは著しいものがあります。
一時はオウムなどの新興宗教が勢力を伸ばしましたが、いまは旧来のロシア正教会の力が復活しています。プーチンがロシア正教会と在外ロシア正教会の和解を斡旋したりソ連邦時代に没収された財産を返還したりしたことによって、正教会は一種の財閥の観を呈しています。
カトリックと違い、かつてのロシア正教においてはピョートル大帝以降、総主教が廃止され皇帝(ツァーリ)が教会の首長でありました(皇帝教皇主義)。それは英国国教会の首長がイギリス国王であること以上の強い権力であり、人民(ナロード)にとってツァーリは神でした。
さて、なぜプーチンが正教会に対して融和的なのか……。すでに多くの教会ではプーチンを「聖人」とみなすイコンが掲げられはじめていると著者はいいます。その一方で強烈な反発も生じているとも。
プーチンとロシア正教の癒着、野合。それはソ連邦時代の個人崇拝の流れを汲みながらも、よりロシアの「古層」に根ざした権力アプローチであり、西側や日本のインテリによる「民主化」必然論を容易には寄せつけないものでもありましょう。

【目次】
序 章 絶望のロシア社会
第1章 神権政治
第2章 “第三のローマ”復興のかげに
第3章 極東の愛国主義は高揚する
第4章 プーチンとは何者か
第5章 反プーチンの逆説
終 章 正教国家ロシアのゆくえ

【著者紹介】
中村 逸郎(なかむら・いつろう)
1956年、島根県生まれ。学習院大学法学部卒業。同大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。島根県立大学助教授を経て、現在、筑波大学国際総合学類長・教授。専攻はロシア現代政治。著書に『東京発モスクワ秘密文書』(新潮社、のちに『ソ連の政治的多元化の過程』と改題して成蹊堂より刊行)、『ロシア市民ー体制転換を生きる』(岩波新書)、『帝政民主主義国家ロシアープーチンの時代』『虚栄の帝国ロシアー闇に消える「黒い」外国人たち』(ともに岩波書店)『ロシアはどこに行くのかータンデム型デモクラシーの限界』(講談社現代新書)などがある。


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講談社
中村 逸郎

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プーチンとロシア正教 中村逸郎 講談社発行年月:2013年02月21日 予約締切日:2013年02月


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・発売日:2013年02月21日
・著者/編集:中村逸郎
・出版社:講談社
・サイズ:単行本
・ページ数:254p
・ISBNコード:9784062181723

【内容情報】
復権著しいロシア正教会と大統領プーチンの癒着と野合。その末に生まれた超権力の構造とは?現地を縦横に歩いて観察し、混迷する社会のゆくえを展望した異色のロシア論。

【目次】
序章 絶望のロシア社会
第1章 神権政治
第2章 “第三のローマ”復興のかげに
第3章 極東の愛国主義は高揚する
第4章 プーチンとは何者か
第5章 反プーチンの逆説
終章 正教国家ロシアのゆくえ

【著者情報】
中村逸郎(ナカムライツロウ)
1956年、島根県生まれ。学習院大学法学部卒業。同大学大学院政治学研究科博士後期課程単位取得退学。政治学博士。島根県立大学助教授を経て、筑波大学国際総合学類長・教授。専攻はロシア現代政治

 大統領に復帰し、いよいよ独裁体制を固めたプーチン。現代ロシアの謎を解く。

 大統領再任で絶対的な権力を手にしたプーチン。その狙いは何か。旧ソ連時代はKGBで謀略の腕を磨いたプーチンだが、宗教を禁じた共産主義とは裏腹にロシア正教を大いにもり立て、教会側もプーチンを国父並みの特別待遇にしているという。

 そこに注目する筑波大教授の著者は、復活したロシア正教で総主教の地位を超えることがプーチンの野望なのだという。それはロシア庶民の伝統感覚を通して国家とプーチンが一体化し、愛国心がそのままプーチン崇拝になるような空気をつくり出すことを意味する。

 興味深いのはプーチンが反プーチン運動をむしろ歓迎していること。ある程度の反権力運動は黙認し、度を過ぎれば処分する。むしろ怖いのは国民に政治的無関心が広まること。それは逆に不安定な経済環境へ目を向けさせることだからだ。それより適度な政治的緊張を巧妙に利用したほうが権力者の地位は安定するのだ。このへん、保守派の片鱗をチラつかせてネトウヨを利用する安倍政権にも似ているが、プーチンはもっとコワモテ。何しろテロ事件の犯人を「便所で絞め殺す」などと公言するのだ。「ろくでなしのロシア」はロシア庶民が毒づくときの決まり文句とか。口汚いプーチンはまさに庶民にウケる独裁者なのだろう。








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