純・笠間焼 29日開幕「陶炎祭ひまつり」の目玉 2000点を出品  (東京新聞2013年4月27日)

【茨城】
純・笠間焼 29日開幕「陶炎祭ひまつり」の目玉 2000点を出品
東京新聞2013年4月27日

http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20130427/CK2013042702000159.html


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 笠間市で採取した土を100%使用した焼き物「純・笠間焼」が29日から同市で始まる大陶器市「笠間の陶炎祭(ひまつり)」に今年の目玉として登場する。開発に取り組んだ笠間焼協同組合の川野輪和康理事長(62)は「ようやく販売までこぎ着けた。240年以上の歴史を持つ笠間焼の転換点になり得る商品」と意気込む。(成田陽子)

 戦前から昭和三十年代ごろまでの笠間焼は主に笠間の土で作られていたが、くせが強く扱いにくいため次第に敬遠されるようになった。鉄分を多く含んで黒っぽい。色や絵を付けるのには不向きとされた。粘土質で粘りが強く、焼き上がりの収縮率が18%程度と高い。傷やひびが生じやすい弱点もあった。

 現在、笠間焼に使用されている笠間産の土は10%足らずで、信楽(滋賀県)や備前(岡山県)など他県の産地から取り寄せた土に少量を混ぜている。

 「笠間には全国各地から作家が集まっているため、使い慣れた土を使い続ける傾向があった」と川野輪理事長は説明する。作風も多種多様で、それが「笠間焼は特徴がない」と評される原因にもなっていた。

 「純・笠間焼」開発のきっかけは、二年前の東日本大震災と東京電力福島第一原発事故。多くの窯元や工房で窯が崩壊し、作品も大量に割れるなどした。それ以上に深刻だったのが原発事故による風評被害だった。

 「笠間焼も放射能に汚染されている」といううわさが立ち、売り上げが激減した。苦境を打破するために組合員が知恵を出し合い、たどり着いた。

 笠間産の土に合った製法を見つけるため組合は県窯業指導所に協力を依頼した。昨年四月から研究した結果、土は採取から二十五年ほど寝かせて熟成させたものが適していることが分かった。収縮率は14%程度に低減し、きめが細かく、なめらかな手触りの陶器ができた。

 窯の温度を通常の一二五〇度から一二一〇度に下げて焼成することで土の性質に最適で、破損も防げることを突き止めた。焼成時に酸素供給量を調節することで、赤と黒の二種類の色合いを生み出すことにも成功した。

 「他県から土を買わなくて済むし、焼成温度を下げることで電気やガスも節約できる。トータルで三割程度のコスト削減ができた」と川野輪理事長は顔をほころばせる。

 今回の祭に向けて約五十人の作家が「純・笠間焼」の製作に取り組んだ。急須や湯飲み、皿、花器など計二千点を出品する予定で、会場の中央に特設コーナーを設けて展示販売する。「お客さまの意見を取り入れ、来年はさらにグレードアップした『純・笠間焼』を作って販売したい」と川野輪理事長。

 「笠間の陶炎祭」は、笠間芸術の森公園イベント広場で五月五日まで開催される。時間は午前九時から午後五時まで。

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