「猫はときどき旅に出る」高橋三千綱著(集英社 1785円)

「猫はときどき旅に出る」高橋三千綱著(集英社 1785円)
【書籍・書評】
東京新聞2013年3月15日 掲載


<発表から11年かけて完成した円熟の作品>


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 楠三十郎は作家。物書きの父を持ち、10代の終わりから22歳までサンフランシスコに住む。

 日本に帰ってきてから作家としてデビュー、ほどなく新人賞を受賞、次いで父が渇望して果たせなかった芥川賞を受賞。そんな楠がある芝居の脚本と演出をしていた頃のこと。新宿の道で知り合いの女優とばったり会う。話の流れで一緒に温泉へ行くことになり混浴を楽しむ。しかし楠の頭を占めていたのは、南極の氷でウイスキーロックが飲みたいということ。場面変わって、念願の南極行きの仕事が飛び込んでくる。ようやく願いがかなうかと思ったら作家を乗せた船が座礁してしまう……。

 第1部の「南極半島は夏」のおおまかな筋はこんなふうだが、間にさまざまな挿話が入り込み、時間も自由に往還しながら筆が運ばれる。第1部発表から11年をかけて完成したこの長編は著者の分身たる主人公の記憶がパッチワークのようにはめ込まれ、独特の小説世界が織りなされる。ベテランならではの自在さと円熟の産物だ。


猫はときどき旅に出る
集英社
高橋 三千綱

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高橋三千綱 集英社高野三郎 芥川賞 東京スポーツ 高橋道綱 すばる 発行年月:2013年02月26日


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