ガード下 今昔物語<4> 新橋文化劇場 (東京新聞 2013年1月5日)

【東京】
ガード下 今昔物語<4> 新橋文化劇場
東京新聞 2013年1月5日



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ガード下で上映を続ける映画館「新橋文化劇場」の副支配人の遠藤健介さん


 ガタンゴトン-。電車が通過する度に、館内に走行音が響く。九人掛けの席が九列。スクリーン両脇にあるトイレに人が出入りすると、暗い劇場が、パッと明るくなる。

 山手線沿線ではおそらく唯一となった高架下の映画館「新橋文化劇場」は、電車の音や光線漏れなんて気にしない常連たちに支えられている。副支配人の遠藤健介さん(35)は「名前は知らなくても、ガード下の映画館って言えば分かってもらえます」と話す。

 高校生の時、映画にはまった。毎日のように見続け、JR新橋駅の烏森口に近いこの劇場に来たのは二十歳のころ。求人誌を手に訪ねたが、「最初は造りに驚きましたよ」。

    ◇

 テレビが本格普及する前、映画は大衆娯楽の花形だった。どの映画館にも立ち見客がいた。文化劇場がニュース映画専門館として開業した一九五七(昭和三十二)年はそんな時代だった。

 当初は洋画、邦画も加え三つの映画館があったが、七九(昭和五十四)年、アクションを基本とする名画座の文化劇場、にっかつロマンポルノの「新橋ロマン劇場」の二館体制になった。

 半世紀以上を経て、今こだわるのは「二本立てで都内最安値では」という料金(九百円。女性と学生、六十歳以上八百円)。そして、入れ替え制なしで「見たい時にいつでもふらっと、上映途中でも入れる気楽さ」だ。

 映画全盛期、若者たちは上映途中から館内に入り、席が空くと駆け込んだ。全席指定のシネマコンプレックスが主流となる中、どこか懐かしい自由な観賞スタイルがここには残っている。

    ◇

 サラリーマンの街・新橋にあって、「ほかでやらない(メジャーでない)作品も上映している。館内の雰囲気もいい」。練馬区の松崎勝也さん(46)は、建築現場を回る仕事をしながら週一回、必ず観賞に来る。

 「見てスカッと、仕事のストレスが飛べば最高ですね」と、作品選びにも気を配る遠藤さん。悩みは、デジタル化の波で今年後半からフィルム作品の供給が減る恐れがあること。七九年製の二台の映写機の部品確保も心配する。ガード下の耐震補強のため将来、改修問題も浮上しそうだ。

 課題はいっぱいあるけど、ここを大切にしたいという思いは強い。「アクション映画なら、電車の走る音も効果音のように気にならない。古い作品の上映はこの場所によくなじむ。大事にしたい場所です」 (滝沢学)






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