吉田類 大衆酒場100選…飲んだくれの聖地で朝っぱらから酒をあおる<まるます家 赤羽>

【吉田類 大衆酒場100選】
飲んだくれの聖地で朝っぱらから酒をあおる<まるます家 赤羽>
【食・レジャー】
日刊ゲンダイ2012年11月29日 掲載



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 わりあいすいている時間帯と聞いて、昼の2時過ぎに暖簾をくぐったところ、ぶったまげた。赤ら顔でジョッキをあおり、肴をつつき、声高にしゃべる飲んべえたちで店はほぼ満席。誰もが気持ち良さそうに酔っぱらっているのである。
 さすがは飲んだくれの聖地とも呼ばれる赤羽の代表格。屈指の人気酒場だ。開店はなんと朝の9時。ここではお日様も昇りきっていないうちから盛り上がっちゃっても、何ら後ろめたさを感じる必要はないし、冷ややかな視線を浴びることもない。酒は世につれ世は酒につれ、飲みたいときに飲めばいいのだ。
 飲んべえどうしは仲間、友だちじゃあないかと、老翁が快く席を詰めてくれ、カウンターについた。生ビール380円のジョッキをあおれば、世知辛い世間からの脱出だ。壁に並ぶ短冊に、まぐろぶつ切り500円、牛すじ煮込み450円、ジャンボメンチカツ550円とうまそうな酒肴がずらり。うれしい悩みに頭をひねらすところだが、今日は違う。「鯉とうなぎのまるます家」と店の看板にある、まさに看板メニューの鯉と鰻と決めていたからだ。
 まずはと、鯉生刺し600円を注文した。箸で一切れつまめば、ほんのり淡いピンクの身が光っている。美しい。店を切り盛りするお姉さまによると、
「養殖場から直接仕入れておいてね、いけすに放ち、それを毎朝さばいているのよ」
 とのこと。「よそじゃあ、なかなか食えねぇぞ」と、常連にはやし立てられながら口に含めば、プリッとした食感の中にほのかな甘さとうま味が広がっていく。平目とか、白身魚の昆布締めに近い、か。これはイケるね。鯉のあらい400円、鯉こく350円を追加する。ここはやっぱり、日本酒300円だろう。キューッとやって、肴を味わう。これがまた抜群の相性だ。
 続いて運ばれてきた鰻カブト焼き2本300円は、文字通り鰻の頭の串焼きだ。素焼き後に圧力鍋にかけ、さらにタレをつけて焼き上げてあるとあって、身がホロホロとして、実に軟らか。ほんのりとした苦味もあって、クセになる味である。
 酒は張り紙にある通り、基本3本まで。ということで、しめにすっぽん鍋750円を堪能して、お勘定をお願いした。通りに出ると、街はオレンジ色に染まり始めている。遠くで豆腐屋のラッパが鳴っている。赤羽の夜はこれからだ。常連に教わった店へ、ハシゴと決め込みますか。
(文・カメラ 吉田慎治)

<一見でも安心>

▽吉田類…「赤羽駅の東口には戦後の闇市からつづく飲み屋街が広がっているんですね。マニアックな酒場が多く、飲み歩きにはうってつけ。朝の9時から酔っぱらっても、誰にとがめられるわけでもなく、ゆっくり羽を伸ばせちゃう。まるます家は誰彼なく門戸を開いているので、一見でも安心です。たまには明るいうちから飲むっていうのも、また乙なもんですよ」

▼よしだ・るい 高知県出身。画家、イラストレーターの傍ら、酒場詩人として全国の酒場をめぐる。著書に「酒場歳時記」など。BS―TBS「吉田類の酒場放浪記」出演中。


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●まるます家(赤羽)
住所=東京都北区赤羽1-17-7
電話=03-3901-1405
営業時間=9:00~21:30
定休日=月曜
交通=赤羽駅より徒歩3分






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