東京新聞2012年11月17日海さち山さち…長野県東御市 クルミ 発祥の地 誇り息づく

【暮らし】
<海さち山さち>長野県東御市 クルミ 発祥の地 誇り息づく
東京新聞2012年11月17日



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クルミの乾燥具合を見る清水宏子さん=長野県東御市で


 秋が深まり始めた十月下旬。長野県東御(とうみ)市を訪れると、ずらりと並んだ形の良いクルミが、農家の軒先で天日干しされていた。

 長野県はクルミの生産量日本一。中でも東御市は一大産地だ。それでも市場に出回る約九割が米国か中国産なので、国産クルミは希少だ。

 クルミ生産者のほとんどが、果樹栽培などの片手間にクルミを収穫する。ブドウ農家の清水宏子さん(67)もその一人。「初夏の害虫対策には手間もかかるが、基本的に木に任せ、実を採らせてもらっているという意識」と話す。自然に任せるのでリスクもある。五月の花の咲く時期に遅霜に遭い、全く実がならない年もある。

 収穫作業は原始的だ。ごつごつした堅い殻に包まれた実をイメージするが、木になっている実は、その殻の外側をさらに緑色の柔らかい果皮が覆っている。

 十月半ば、この果皮が割れてきたら収穫の合図だ。竹ざおで木をたたき、実を落とす。果皮を取り、機械で洗い、一カ月ほどしっかり乾燥させる。十一月中旬ごろ、ようやく今年の味を楽しめる。

 東御市はクルミ栽培の国内発祥の地でもある。明治の終わりごろ、米国人が県内での栽培を試み、雨が少なく比較的温暖な東御市周辺で栽培が定着。優良品種の育成も進み、昭和三十年代に皮が薄く、実が大きい品種「シナノグルミ」が開発された。しかし、昭和四十年代に安価な輸入物が入り、東御のクルミ生産は減り続けた。

 転機が訪れたのは二〇〇〇年を迎えるころ。高齢化などで増えた荒廃農地対策として、地元の農業農村支援センター事務局長だった唐沢光章さん(76)が中心となり、「くるみの里づくり運動」を始めた。「収穫期以外はそれほど手間がかからないクルミを、高齢者にも見直してほしかった」。優良品種の栽培指針をつくるなどして普及を図り、少しずつ生産を増やしていった。

 唐沢さんは「生産量で輸入品には太刀打ちできないが、地元の特産品として長く作り続けてほしい」と願う。発祥の地としてのプライドが、地元の農家に息づいている。 (宮本直子)

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