日刊ゲンダイ2012年11月8日 江戸東京 町歩き…湾岸でアルプスの少女ハイジ<豊洲>

【江戸東京 町歩き】
湾岸でアルプスの少女ハイジ<豊洲>
【話題】
日刊ゲンダイ2012年11月8日 掲載



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 若者やカップルでにぎわう豊洲は、明治・大正期の埋め立て事業で誕生した。
 元は石川島造船所(現IHI)の工場で、日清戦争で活躍した砲艦「鳥海」など多数の軍艦、駆逐艦がここで建造されている。同社は今、電子調理器みたいな社名に変わったが、日本の重厚長大を代表する硬派な会社があった町なのだ。
 唯一、商業施設「ららぽーと豊洲」の中庭を歩けば、かつてここが造船工場であった名残を散見できる。係留柱、錨(いかり)、 資材運搬用のトロッコの線路などだ。何げなく腰を下ろしたベンチの骨組みが、トロッコの車輪だったりもするのだ。
 もっとも、施設内にある子供の仕事体験場「キッザニア東京」の職業に造船作業員はない。あるのは、携帯ショップ店員やエンターテインメント産業など。子供らにとって、かつて日本を牽引した造船会社に就職するという選択肢はない。
 豊洲公園で遊ぶ親子を横目で見ながら、ゆりかもめの軌道沿いに歩くと、スキー場のゲレンデのように芝生が敷かれた奇妙な屋根の建物に出合う。東京ガスの施設跡地に建てられた「がすてなーに ガスの科学館」だ。
 館内の展示物は、ほぼ“子供だまし”で大人は楽しめないが、1階にあるガス灯に、ふと足が止まった。明治時代にレンガを照らし、この国を発展させようと努力した男たち、支える妻たちの笑顔を照らした鈍い光だ。見も知らないはずなのに、何か心が温かくなるノスタルジーに浸る。
 エレベーターに乗って屋上に上がると、先ほど道端から見ていた芝生の屋根に出られる。さほど高くもないが、ここから東京の都心部、雄大な富士山、そして太平洋につながる東京湾が見渡せるのだ。芝生の下り坂(出入り禁止)を見ながら、「アルプスの少女ハイジ」なんかも思い出せる。
 再び軌道沿いを新豊洲駅。築地から移転する東京都中央卸売市場の建設現場へ。2014年12月に移転予定だが、まだ基礎工事の段階だった。都知事も代わるし、どうなることやら。(廣)

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